OBJECTIVES

研究の背景と目的

国境を越える人の移動は活性化して止む気配をみせません。国家(人の国際移動の受入国、中継国、送出国)、国連に代表される国際機関(UNHCRやIOMなど)、EUやASEANといった地域機構、移民や難民支援に携わるNGO・NPO等の市民社会組織、企業や労働組合や自治体、宗教団体やエスニックグループ、そして越境の第一の当事者である国際移住者など、国境を越える人の移動に関わるステークホルダーは様々です。

どのような対話や交渉、対抗や競合のなかで、この文字通りトランスナショナルな現象は規定されるのでしょうか。いかなる「ガバナンス」が、そこに立ち現れるのでしょうか。主権国家体制の原理原則のもとでも、受入国政府の管理規制のみが、国境を越える人の移動を一元的に律しているとは言い切れません。この現象の形態やパターンは様々なアクターや制度に影響を受けているはずです。すなわち、人の越境の自由と社会秩序が両立する条件を探るためには、国家のみならず、複数のステークホルダーの様々な働きかけや、その間の相互作用にも焦点を当てる必要があるのです。そのために本研究は、国際関係論、政治学、社会学、文化人類学、地域研究等、様々な角度から本現象を捉えることで、学際的な探求を試みています。

本研究の主たる調査対象地域は、1:東南アジア、2:南アジア、3:中央アジア、4:中南米です。地域内と地域間において極めて活発な人の越境が観察されているものの、国際人口移動を主要テーマとする従来の社会科学分野の学術的調査研究が、必ずしも積極的に扱ってこなかったエリアも含まれています。もちろん本研究における学術調査の対象は、上記に限定されているわけではありません。国境を越える人の移動は本質的に全世界的に結びついている現象であり、本研究は、その全体像の理解の寄与することを目指します。

研究の進め方と成果報告の方法

本研究は、以下のような方法で遂行します。

  1. 資料調査:日英及び現地語での資料を収集、整理、再構成し、当該地域における状況の理解を深める。
  2. 現地調査:多様なステークホルダーに対するヒアリングを中心に、状況の多角的な分析を行う。
  3. 研究ミーティング:定期的に行い研究の進捗を確認するとともに、各調査地域で得られた知見の共有を進め、国際比較考察のための論点の抽出を試みる。
  4. ワークショップ/研究フォーラム/国際シンポジウム:本研究の途中経過を示し、専門的なフィードバックを得る。対象地域からの在外研究者の招致も行い、国際的な研究ネットワークの構築とその強化を促す。
  5. 学会における個人及び共同報告:中間的な考察結果や最終成果を、主に口頭発表のかたちで発信する。
  6. 論文・図書の刊行:中間的な考察結果や最終成果を、専門誌への掲載や研究図書の出版というかたちで発信する。

本研究は科学研究費補助金・基盤研究B(課題番号:17H04543)の助成を受けています。課題名「人の国際移動をめぐるリージョナルガバナンスの国際比較実証分析」

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